感想 閃光のハサウェイ
アマプラで閃光のハサウェイを見ました。
まだ公開から一年たっていないのにアマプラなどサブスクでも見られるようになるのは、ありがたいですね。通しで一度しか見てないので間違いや勘違いの箇所もあると思います。予告編は2度見た。
ガンダムは知ってるけどシリーズをちゃんと見た事はない程度です。
まず気になったのは主人公ハサウェイの二面性。
ぱっと見地は味な青年なのに裏ではテロ組織のリーダー役。
しっかりしてそうなのに割とうっかりやさん。
暗殺する予定の政府高官らの顔を見るだけのために、わざわざ危険を冒して同じシャトルに乗るハサウェイ。
えっ、そんなことする?
理由はどうあれ人の命を奪うという罪と責任の重さを忘れないようにするためだと思うけど
ちょっとびっくりした。
偽マフティが乗客にしていた事は、本家マフティと大きく見れば同じなのではないか。
頭では分かっていても感情では割り切れていないハサウェイは、偽マフティにその事を目前でさらけ出された事で怒ったのかもしれない。
その後、地球に降りたハサウェイは政府高官達の泊まってるホテルをモビルスーツで攻撃させる。はじめから抹殺する予定だったので!
事情聴取で集められていた時、乗客達にテロリストから助けてくれてありがとうと感謝されていたが、引きの画面でハサウェイの顔は見えない。
ホテル襲撃の直前まで自分で指示をだしてるのに寝おちして、攻撃にまきこまるって天然か。
とにかくこのハサウェイという青年、見ていて危なっかしい。
自分で始めたことに、自分で足を取られて振り回されている感がある。
でもその未成長な感じがハサウェイの魅力になっていると思う。
たぶん無自覚なお姉さんキラーなのでは。
シャトル襲撃の事情聴取会場。ハサウェイはジンジャーエールを誰も見ていないと思ってストローをはずしてぐいと飲もうとする。
僕、人の見ていないとこでは、こんな風に飲んじゃうタイプなんですよ!
…のをギギに「あなたほんとはマフティーなんでしょ」と言われて止まっちゃうのはちょっと笑った。
ギギは男心を惑わす切れ物の小悪魔に見えて、無力な愛人(まだ第一部なので分からないが)。
ケネスも初見スマートな大人に見えるが、手段を選ばない事もする司令官という面を見せる。
この作品にはガンダムが2機出てくる。
ハサウェイのいるマフティーと連邦政府側。こちらも対比か。同じガンダムでも乗る者によって二つの顔を見せる。
映画では敵役なのに正々堂々戦おうとしている、連邦政府のパイロットのレーン君がいい味を出していた。
あと万人が言うと思うが、素晴らしかったのは街中で繰り広げられる重厚感のあるモビルスーツ戦。
重くて何か巨大な物体の戦いに巻き込まれて逃げ惑う人々。
何もない宇宙空間の戦闘でパイロットの操縦席越しでは、感じることのできない現場にて見ている臨場感が出ていて大変良かった。
後半の高速モビルスーツ戦もよく分からない中で、すごい高度な戦いが行われてる感じもいいと思うが、やはりこの市街地での戦闘がこの映画の白眉だと思う。
こんなの巻き込まれたら空襲じゃん。こわすぎ。
マフティーだか連邦だかの主義主張なんか知らんわーって思うじゃん。
戦争映画を描くなら、こういう戦争を外から見た視点は必要だと思う。
戦争映画の強度をあげるためにも。
他に書く事は…というと、この映画は旅情感があって良かった。
宇宙からシャトルで地球へ。
高級ホテルに泊まり、南の国の現地観光。
舞台はフィリピンらしいが暑さでうだる中、ハサウェイが汗を流しながら街中を歩いたり砂浜で靴に入った砂をどさーっと出す描写が良かった。
コロニーでは人が快適に住めるように管理できるけど、地球の自然はコントロールできない。
生き物の人間も自然の一部なので、思い通りする事はできない。
暑ければ汗が流れるとこを止められないし、歩いていれば靴に砂が入る。
他人を都合よく動かす事はできないし、自分の気持ちも周りの環境に左右されて、ままならない。
終盤、マフティーが街中を破壊したテロリスト集団なのに勝って良かったねえとちゃんと思える演出のうまさ。
作画、脚本あらゆるチューニングが高品質で上手くいってる稀有な例では。
閃光のハサウェイは、そんなにガンダムに詳しくない私でも楽しく見ることができました。
うぇーい。