映画の感想  ELLE  エル(ネタバレあり)

まず冒頭からきっつい。

主人公が自宅でいきなり暴漢に襲われるシーンから始まる。

妙に生々しく、ここで見ていられなくて離脱する人もいると思う。

大筋は主人公が犯人を見つけていくというストーリーなんだけどとにかくこの映画…

 

くせが強いんじゃ〜〜

 

登場人物が主人公の元旦那、マクドで働いている息子や友人たちと他にも何人か出てくるがみんな癖ある人物たちで素直に感情移入させてくれない。

主人公のマダム、ミシェルさえも。

 

ミシェルは襲われた事件の他にも会社で怪動画を流されたり、世間を騒がせた連続殺人鬼で投獄された父親がいるのが分かってくる。

家族ともうまくいっていない。

普通なら可哀想な人と思われても仕方がない状況なのにこのミシェルという人物…まったく見てる視聴者に同情させてくれない作りになっている。

むしろあなたたちが思っているような可哀想な女性じゃないのよと拒絶してくる。

 

一般的な作りの映画なら視聴者に共感される主人公を出して、主人公に感情移入してストーリーを追っていく形になると思うんだけどそれがないとどうなるか?

 

めちゃくちゃ困惑する。

 

この話はいったいどこに向かっているんだ?

宙ぶらりんな気持ちにされてすごくもやもやする。

たのむから感情移入できる登場人物を出してくれーってなる。

 

しかし見始めたのなら最後まで見てほしい。

ひとくせある映画が好きな人もいるだろう。

たくさん映画を見ている人ほど心に爪痕を残す映画だと思う。

 

ここからはネタバレ。

ミシェルが家にいるとスズメが窓にぶち当たってきて落ちる。

そこに飼ってる黒猫がやってきてスズメをがぶがぶしてしまう。

 

猫はそういう生き物なので仕方がない。

窓ガラスにうっかりぶつかってきた雀の方がうかつだったのだ。

ネコチャンは悪くない。

そういえばエルを襲った暴漢も同じ窓から入ってきたのではなかったか?

 

2度目に襲われた時、暴漢はミシェルにハサミで手を刺された。

それは猫の牙のように鋭くはなかったか?

 

終わってみれば全てはミシェルにとって望ましい方に改善されていた。

ミシェルがどこまで計算して行動したのかは分からない。

パーティでもう嘘をつくのはやめたと言ったのはおそらく本当だろう。

神ではないのでその結果がどうなるかまではミシェルにも分からなかったとは思う。

 

海外のドラマなどで、窓ガラスに鳥が激突して落ちるという描写を見ることがある。

たぶん何か意味があると思うがちょっとググっただけではよく分からなかった。

不吉なことを知らせる前触れか何かなのかな?

 

ネコチャンは自由でしばられないから魅力的なのだ。